脳出血の後遺症よる白内障で障害厚生年金1級が認められたケース
男性(50代/無職)
傷病名:視野狭窄・高次脳機能障害
決定した年金種類と等級:障害厚生年金1級 事後重症
受給金額:115万円
1.相談者の状況
30年近く前の脳出血後遺症による白内障を患っている50代の男性について、ご親類様からご相談いただきました。
2.社労士の見解
“この方は30年ほど前、大学を卒業して会社に就職された直後に脳静脈瘤破裂による脳出血を患い、その後遺症として白内障を患いました。
一般的な就労は困難となったために就職された会社は退職され、その後は家業の手伝いや自宅近くの作業所の手伝い等に従事されましたが、白内障の症状が徐々に憎悪したために近年は就労されていないとのことでした。
視力・視野ともに大幅に制限され、一般的な書類に書かれている文字については顔を至近距離に近づけてようやく判別できるかどうか、という状態でした。
単身での外出も困難であることから外出は常にご家族様が付き添いますが、役所で書類に署名をする際にもご家族様が署名欄を指で指し示すものの、文字を書こうとして少しでも顔が動くと署名欄がどこにあるのかわからなくなってしまい、大変苦労されているとのことでした。
3.受任してから行ったサポート
30年近く前に初診日があることから、その立証が最大のハードルと考えました。
初診の医療機関に確認したもののすでに診療録は破棄されており、また、ご本人様のお手元にも初診の医療機関を受診した年月日が分かるような資料は残されていませんでした。
しかしながら、調査の結果以下①・②の資料を取得することができました。
①2番目に受診した医療機関でのカルテに「〇年〇月脳出血を発症し、△△病院を受診」との記載があったこと
②初診日から3年ほど後に取得した身体障害者手帳を申請した際の診断書(初診医療機関で作成)が役所に残っており、そこには初診日の記載があったこと
以上をもとに初診日が認定される可能性が高いと考え、申請を進めることとしました。
なお、遡及請求については初診日から1年6か月経過時点の診療録が残っていないことから請求困難と考え、事後重症請求として申請いたしました。
また、障害年金の等級審査にあたっては日常生活状況や就労能力も加味されることから、「病歴・就労状況等申立書」の作成にあたってはご本人様・ご家族様からのヒアリングを基に発症から現在までに就労・日常生活の両面で多大な制限を受けてきたことを具体的なエピソードも交えつつ作成するよう留意しました。
4.結果
事後重症として、障害厚生基礎年金1級に決まりました。