障害年金のよくある質問
質問
そもそも、障害年金とはどのような年金のことなのでしょうか。どのような場合に受給できるのですか?
制度自体について知らないので、基本的なことから教えてください。
答え
年金の制度は、複雑で、ましてや障害年金は多くの人にとって身近なものではないので、受給や制度に関して複雑で着手できづらいものであるかもしれません。
しかし、基本的な枠組みは老齢年金と同じです。
国民年金からは「障害基礎年金」、厚生年金からは「障害厚生年金」という名称の年金が出ます。
なお、公務員の方には「障害共済年金」が出ます。
これら3つの障害者対象の年金を総称して「障害年金」と呼びます。
障害年金は、ケガや病気になって、その後それが原因で障害が残ってしまった場合に、障害の程度に応じて出るものです。
「障害の程度に応じて」と書きましたが、これは1級、2級、3級といった等級で表示されるのですが、障害が重さや程度によって、障害年金の金額は変動します。
そして、身体障害者手帳の1級や2級とは内容や基準が異なりますので、身体障害者手帳で1級だからといって、障害年金の等級も1級になるわけではありませんので、注意が必要です。
それでは、どのような人が障害年金を受け取れるのでしょうか。
障害年金は、障害の原因となった病気やケガについて、診断を一番初めに受ける初診日に年金に加入していることが必要です。
最初に診察を受けた日のことを「初診日」といいますが、障害年金にとってはこの初診日が大変重要なポイントになります。
初診日に国民年金の保険料を払っていた人は障害基礎年金を受け取ることになりますが、厚生年金に加入していた人ならば、
厚生年金は国民年金とセットで加入しますので、障害基礎年金と障害厚生年金の2つを受け取ることになります。
質問
原則に従って20歳から国民年金に加入していますが、1年前より未納状態です。4年前に肝炎を患い初めて受診し、
現在では肝臓がんに進行しています。国民年金が滞納状態であっても障害年金を請求することは可能でしょうか。
答え
現在、年金の未納が大きな社会問題として取り上げられています。
「年金=将来の老齢年金」と考える人が大半を占めているといった現状ですが、障害年金にも大きく関わる問題です。
早い段階で自身が障害年金を受給することは誰しも想定しがたい部分ですが、一定の未納状態が続くと
障害年金の受給が不可能になる可能性があるため、重大な問題となってしまいます。
重要ポイントとして、障害年金が請求可・不可は、現在の保険料納付状況ではなく初診日時点の保険料納付状況によって決まります。
具体的には、初診日の前日の時点において、初診日の属する月の前々月までの公的年金制度に加入すべき全期間のうち、
その3分の2以上の期間が保険料納付済か保険料免除済で満たされていれば請求可能です。
またそうでない場合は、平成28年3月31日までの特例(平成3年5月1日以降に初診があるときのみ)で、
初診日の属する月の前々月からさかのぼった1年間が未納なしの状態であれば請求は可能です。
相談者の場合、初診日前の保険料納付要件を満たしていると見られるので、年金請求は可能です。
なお、経済的な余裕がないという理由により保険料を払えないといったような場合、保険料免除申請の手続きをすると、
支給要件における納付済み期間としてカウントされます。また一部免除の場合は、減額された保険料を納付すると
納付済み期間としてカウントされます。
何らかの事情で保険料の納付が困難になることもありますが、その場合であっても未納状態を続けずに
免除や納付特例を申請しておいた方が賢明です。
質問
先日、事故で左手の中指を失ってしまいました。厚生年金加入中の障害の傷病の程度が軽い場合、
障害年金ではなく障害手当金という制度が適用されると聞きましたが、障害手当金とはどのような制度なのでしょうか。
答え
障害手当金とは、病気やケガで障害者となった際に、障害の程度が軽い場合に一時金としてもらえる制度のことです。
これは障害厚生年金制度にのみある制度です。 さて、この障害手当金の受給できるかどうかの可・不可に関しては、次の5つの要件に該当するかどうかで決まります。
1.厚生年金保険の加入中に初診日があること
原則として、初診日時点において厚生年金保険に加入している必要があります。
つまり、民間の会社やお店などに勤めている間に初めて受診した病気やケガが対象となります。
2.初診日から5年経過の間にその病気やケガが治っていること
初診日から5年経過しても完治しない病気やケガについてはこの障害手当金は請求することができません。
病気やケガが治った場合にのみ、請求することができます。
3.病気やケガが治った時に一定の障害の状態にあること
障害手当金がもらえるかどうかは、治った状態次第で決まります。
つまり、障害認定基準の障害手当金に該当する程度の症状かどうかということが判断基準となるわけです。
この認定基準は、厚生年金保険法施行令の別表第二に定められています。別表第二には全部で22の症状が規定されていますが、15号目に「一上肢のひとさし指を失ったもの」があります。
4.一定期間以上の保険料納付があること
初診日の前々月まで年金加入期間(被保険者期間)のうち、滞納期間が3分の1未満ならば、障害手当金の請求ができます。
5.病気やケガが治ってから5年以内に請求すること
障害手当金についても、他の制度と同様に、自分自身で請求しないと受給することはできません。
障害手当金の請求は5年の時効がありますので、注意しましょう。