【脳出血】【受給金額220万円・障害厚生年金1級】初診日から1年6か月経過前の特例による障害認定日が認められたケース
男性(40代/退職)
傷病名:脳出血(左被殻)
決定した年金種類と等級:障害厚生年金1級
受給金額:220万円
1.相談者の状況
1年前に脳出血を起こされ、右半身不随の後遺症を負われた男性からご相談いただきました。
2.社労士の見解
この方は1年前に左被殻脳出血を発症され、ただちに入院して治療を受けるも右半身がほとんど不随となってしまいました。
右手はコップを持つのも不安定で、また、指先の細かい動作が困難であることから筆記やひも結び、ボタン止めは全く不可能でした。
左足についても自立困難であることから歩行は常に補助具に頼ることとなりましたが、右手の症状もあることから両杖の使用ができず、車椅子を用いることとなりました。
発症当時は一般企業の総合職で勤務されておりましたが、発症後は症状ゆえにデスクワークですら困難となってしまい、加えて車椅子生活となってしまったために電車通勤や駅からの移動も困難となりました。
このことから退職を余儀なくされ、現在は就労できていないとのことでした。
日常生活についても上記のとおり家の中での移動も常に車椅子を使用し、また、食事や入浴・トイレ・衣服の着脱など自身の身の回りのことであってもご家族様や訪問ヘルパーの介助を受けていることから、単身で生活を送ることは困難でした。
また、この方は発症から1年ほどはリハビリテーションを続けていたものの、1年経過時に主治医先生から「リハビリテーションを継続しても、これ以上の症状の改善は見込めない」と症状が固定した旨のご説明を受け、身体障害者手帳を申請・取得された(身体障害者手帳の障害等級は2級)とのことでしたので、初診日から1年6か月経過前に症状が固定した場合にはその日を障害認定日とすることができる、という障害認定日の特例の対象になる可能性も考慮して申請を進めることとしました。
3.受任してから行ったサポート
初診日から現在まで同じ医療機関に通院していることから、初診日の立証については問題ありませんでした。また、初診日までは同じ会社で20年近く厚生年金に加入されていたことから、年金保険料の納付要件についても問題ないと考えました。
前述のとおり障害認定日の特例の認定を受けることで、本来の障害認定日(初診日から1年6か月経過日)の翌月からの年金支給開始となるところ、特例日の翌月からとなることで6か月間早く年金支給が受けられると考え、主治医先生に診断書をご作成いただくにあたっては症状固定日の明記および症状固定と判断された理由の記載をお願いしました。
また、脳疾患後遺症による肢体障害については診断書中の「日常生活における動作の障害の程度」の判定が重要視されますが、同判定は身体障害者手帳申請用の診断書と異なり、具体的な日常生活動作に即してご判断いただく必要があります。
※一例を挙げると、「つまむ」という動作は「新聞紙を引き抜くという動作」に即して判断するよう指示があるため、単に指を動かしてつまむという動作ができるかどうか、ではない点に注意が必要です。
このことからご面談時にはご本人様から診断書に判定項目がある動作1つ1つについて詳細にヒアリングを行い、その結果をまとめた資料を添付のうえ診断書のご作成を依頼しました。
また、「病歴・就労状況等申立書」についても遡及請求であることから発症から現在まで就労困難かつ日常生活についても周囲からの援助が必要不可欠であること、診断書では書ききれないご本人様の具体的な日常生活のご様子を記載するよう留意しました。
4.結果
障害認定日の特例が認められ、症状固定日の翌月から遡及して障害厚生年金1級に決まりました。