労務管理事例②

雇用契約上の地位確認等請求事件

朝日新聞社事件

新聞社Yの診療所で歯科医師として勤務していたXが、多数の患者に対し不適切な対応、診療を続けてきたため、診療所の業務運営に支障を来していること、故意に虚偽のカルテを作成して診療報酬を不正に請求して健康保険組合及び被保険者で ある社員に損害を与えたことを主たる理由として、自主退職するよう要請されたが、これを拒否したため、就業規則の規定に基づき、Yとの信頼関係が喪失され 従業員として不適格であるとの理由により普通解雇とされたことから(〔1〕止むを得ない社務の都合により退社を定められたとき、〔2〕就業規則に違反し、 従業員としての義務を履行せず職務を怠っているときに基づき、二度にわたって解雇の意思表示がなされた)、右解雇は解雇権の濫用により無効であると主張し て、雇用契約上の地位にあることの確認及びYより種々の嫌がらせを受けたと主張して不法行為に基づく慰謝料の支払を請求したケースで、労働者に従業員としての適格性の欠如や使用者との信頼関係の喪失を将来するような客観的に合理的な事由がある場合には、Yは解雇なしうるとしたうえで、Xは、従来からのやり方ではあるものの、保険請求の方法について指摘を受けてからも不適切なカルテの記載を行っており、かかる請求を続けたこと自体が歯科の管理者としては不適切な行為であり、またXの診療内容に対する患者からの苦情やスタッフの疑念、Xの勤務状態、これらに起因する歯科内部での人間関係の悪化、医師という専門職の配置転換の困難性等を考慮すれば、本件解雇は社会通念上相当性を欠くとはいえず有効であるとして、請求が棄却された事例。


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